脳卒中という病気
くも膜下出血は、脳内出血の中で唯一増加傾向にあり、その原因の多くは脳動脈瘤の破裂です。
冷静で経験豊富そして熱いハートの持ち主である、堤一生先生の治療・予防手術を紹介します。
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前日まで元気にしていた人が、突然倒れて救急車で病院に運んだが結局、不帰の人となった。
幸いに命はとり止めたが植物人間になって何もわからない、
手足のマヒや言語障害が残って職場復帰がむずかしいなどなど。
脳卒中で倒れたあと亡くなったり、その後遺症で悩んでいる人の話を身近に一つや二つ聞かない人はないでしょう。
また、リハビリの効果が遅々として進まず、職したり、短気で怒りっぽくなったり、自己中心になる、今まで陽気だった人が軽い脳卒中になったあと、すっかり落ち込んだり、
また性格ががらりと変わってしまう場合もあります。
病気がさせるのだからとがまんしていた家族の人たちも、長引くとついには大声を上げてしまったり、口論になったり、
病人よりも看護人のほうがノイローゼ状態になることもあるでしょう。
精神的な問題ばかりではありません。
経済的にも、配偶者や子どもがかわって一家を支えなくてはならない状態になることさえあります。
このように、家族の一人が脳卒中で倒れるということは、家庭内に大異変が起こることなのです。
家庭崩壊さえ起こりかねないほどの病気なのです。
その深刻さにおいては、がんにまさるとも劣らずといってよいでしょう。
「卒中」、私たちがずいぶん耳にしたり、新聞や雑誌などで目につくこの言葉は、日本でも実は今から1000年以上も前に、『素問道篇本病論』という本の中にすでに使われていました。
当時の人々が脳卒中がどんな病気かをくわしく知っていたはずはないのですが、大体の様子がわかっていたのでしょう。
卒中の「卒」は「突然」、「急に」という意味ですし、
「中」は中毒という言葉が毒にあたるという意味であるように「あたる」、「ぶつかる」という意味があります。
つまり、突然何かにあたったように倒れるということが卒中なのです。
脳年中のことを、脳の病気で何か悪い風にでもあたったように突然倒れる状態であると、1000年も前の人々が知っていたことになります。
脳牛中に相当する英語やドイツ語は、アポプレキシーという言葉です。
これは打ち倒されるというような意味のギリシア語に由来していますから、日本語の卒中の意味に似ています。
死亡率は低下したが、有病率は減らない
脳卒中は1980年までは日本の死亡原因第1位でした。それ以後少しずつ減って、現在はがんに次いで、心臓病と2位・3位をせっている状態です。
しかし死亡率は減りましたが、
病気にかかる人、つまり有病率はあまり変わっていないのです。
外来患者さんの数はむしろ増加しています。
治療の進歩その他で、脳卒中になっても死ぬ人は減ったのですが、高齢者がふえたために脳卒中にかかる人はあまり減らず、死ぬことはないが寝たきりになる老人がふえる傾向にあるのです。
脳卒中は脳の血管の病気、心臓病も多くが血管の病気です。
ともに動脈硬化や高血圧が主な原因で、この二つは親類関係にあるとも云えます。
そしてこの二つの血管病を合わせると、当然ながら死亡率はがんよりはるかに大きくなるのです。
脳卒中といってもいろいろの種類があり、日本では以前は、脳の血管が破れて脳内に出血する脳出血がいちばん多かったのです。
しかし最近は、脳の血管が詰まって起こる脳梗塞が多くなりました。
これは脳出血の最大の原因である高血圧の治療の進歩、食事や生活の改善あるいは改悪などのあらわれだと思います。
昔から、脳卒中は冬と夏に多い病気といわれてきました。
冬は、寒冷のために血圧が上昇することが主な原因と思われます。
また夏は脱水状態になりやすいので、血液の流れが悪くなって血管が詰まってしまう脳梗塞が起きやすいのだといわれていました。
しかし最近は、この脳卒中と季節の関係が多少不明瞭になってきて、脳卒中は一年中ほとんど同じように起こるようになりました。
おそらく住居の改善や、冷暖房設備がよくなったことが冬の脳卒中が減った原因なのでしょう。
血管が破れる場合と詰まる場合がある
「脳卒中」、正確には「脳血管障害」とは、脳の血管に何らかの異常が起こって、て出血したり、あるいは詰まってそこから先に血液がいかなくなる状態です。
そのために脳が直接こわされたり、圧迫されたり、血液の流れが障害され、脳は酸素不足になって脳細胞が死んでしまい、それらの結果、手足が動かなくなったり、意識がなくなったりするのです。
症状はおかされた部位によっていろいろ
人間の脳は内頚動脈と椎骨動脈の左右2対(4本)の血管によって心臓から血液をもらっています。
頭蓋骨の中に入ると、これらの血管はさらにこまかく枝分かれして、脳内にくまなく血液を供給するシステムができています。
脳はこれらの血液から酸素や栄養分の供給を受けて働いているわけですが、それぞれの部位によって手足の運動とか、感覚、物を見る、記憶する、話すなど、
いろいろの働きを分担しています。
ですから脳卒中が起こった脳の場所によって、あらわれる症状が違います。
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