くも膜下出血は再発作の前に治療
くも膜下出血は、脳内出血の中で唯一増加傾向にあり、その原因の多くは脳動脈瘤の破裂です。
冷静で経験豊富そして熱いハートの持ち主である、堤一生先生の治療・予防手術を紹介します。
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脳卒中の中で、最も重要なのはくも膜下出血です。
軽い発作を除いた脳卒中の一割、約二万人も患者が発生し、早期の脳外科手術で多くの人が助かるためです。
脳ドックで、動脈りゅうが見つかれば、予防的な手術も可能になります。
しばしば活躍中の著名人が倒れていますから、よく開く病名の一つでしょう。
くも膜下出血は、電話で症状を開いただけで診断できる病気です。
第一の特徴は、激しい頭痛です。
これは100%起こります。
しかも、三日から一週間も続く痛みで、寝込むほどです。
激痛では、たとえば片頭痛があります。
これだと、二、三時間でおさまり、食事ができるほどです。
くも膜下出血の頭痛は質量とも強烈です。
「突然、頭と目の奥の突き刺すような激痛に襲われ、その場にうずくまってしまった。
気持ちが悪く、嘔吐は続くし、寒気はするし、いったい何ごとが起こったのかと思った。
痛さもただならぬ痛さであった」と、ある患者さんは日本脳神経財団のニュースに投稿しています。
「こんな激しい痛みは初めてであるし、おかしいとは思ったが、その時は脳卒中など全く思いもつかなかった」
「痛みは治まらず食欲もまるでなかった」
「倒れて十日ほどであろうか、目がおかしいことに気がついた。
焦点が合わないのだろう。
身近な物がうろうろし始めた。
同時に左の瞼も垂れさがってくるような気がした。
左の瞼はいよいよ垂れさがり、黒目は死んだようにびくつとも動いてくれない。
これはただごとではない」。
幸運にも一命を取りとめたこの患者さんの記録にもありますが、第二の特徴は嘔吐です。
これは80%の人に見られます。
その次が意識障害や、まひで、60%ぐらいの率で現れます。
くも膜下出血の原因のほとんどは、直径一ミリから三ミリくらいの脳動脈の分岐部にできた動脈りゆうが出血を起こしたものです。
動脈りゅうは血管にできた風船のようなコブで、もともと壁が薄い分岐部にできます。
生まれつき弱いところのある人の血管部分が年とともにふくらみ始めます。
成人の30人に1人が動脈りゅうを持っていますが、破れるまでは全く何の症状もありません。
多くは4、50代になって、ある日、突然に破れます。
くも膜は、薄いオブラートのような膜で、くもの糸のように張っています。
動脈のコブが破れると、くも膜と軟膜との間の髄液中に出血します。
一回目の発作で助かっても手術をしないと、二回、三回と発作が起こり、一回目で2割、二回目の発作で5割、三回目の発作があると8割は死ぬ、といわれています。
くも膜下出血の発作が起きたら、とにかく一刻も早く、脳神経外科の専門医のいる病院に運ばねばなりません。
専門医はすぐに頭を開いて(開頭手術)、このコブを金属のクリップではさんで、大出血を防ぎます。
最低血圧(血圧の低い値)の低い人には大発作が少ないのに対し、最低血圧が高いままの人は、発作が起こった時の危険は高いようです。
クリップをかけると、動脈りゅうは自然に縮んでしまいます。
クロム合金製のクリップは頭の中に残りますが、日常生活では問題がありません。
最近のものは磁石でくっつかなくなっており、MR(磁気共鳴)検査でも大丈夫です。
動脈りゅう手術は、熟練した病院であれば、7、8割の患者は2、3週間で退院し、1、2ヶ月で元の仕事に復帰できます。
また、脳動静脈奇形という、生まれつき、動脈と静脈が末端でつながっている病気があります。
正常な場合は、血液は動脈から毛細血管を経て、脳細胞に酸素と栄養を与え、老廃物と二酸化炭素を毛細血管から回収し、静脈に入ります。
脳動静脈奇形は毛細血管がなく、動脈から直接静脈につながり、たくさんの異常血管の固まりになっています。
血管がもろく、動脈血を直接受けると破れる危険があります。
その結果、くも膜下出血や脳出血が起きます。
脳動静脈奇形がある人はしばしばけいれん発作や軽いまひ、頭痛などを訴えます。
奇形部の血管に動脈血が集まりすぎて、周囲の動脈の血液が不足するためです。
奇形部分が限られている時は、その前後の動脈、静脈を止めて摘出します。
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