一番大切な脳
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人間のからだは、頭、胸、腹部、手足まで、数多くの臓器があります。
その中で私たちにとって、最も大切な臓器は何でしょうか。
答えは脳です。
脳は人間が毎日毎日、元気に仕事をしていくうえに欠かせない重要な組織です。
最近は臓器移植にからんで、脳死が注目されています。
脳が回復不能になった時、機械の補助でたとえ心臓が動いていて、たとえからだが温かいままでも、人間は死んでしまっているということです。
脳の死こそ人間の死だとの考えは、欧米では当たり前のことであり、日本でも受け入れられつつあります。
この脳は、臓器移植でも人工臓器でも代用することが、現在も将来とも不可能な唯一の臓器でしょう。
パーキンソン病という病気の患者の脳に、胎児などの脳組織を移植する治療が一部で試みられています。
「脳移植」「脳組織移植」と呼ばれていますが、これは心臓や肝臓の移植とは全く違い、移植された脳が本来の脳に代わって全面的に働くものではありません。
一部の物質を補給するだけの目的です。
脳には、ほんのわずかの障害が起きても大変です。
半分あるいは全くなくても平気という他の臓器とは違います。
たとえば、胃は食物を消化し、一時的にためておく場所ですが、胃がんになれば切ってしまいます。
全く不便がない、というとウソになりますが、全部摘出しても命には別状ありません。
腸も半分切除できます。
生体肝移植という手術があります。
1989年11月に島根医科大学付属病院が試みて以来、日本でも、親から子供に肝臓の一部を移植する手術が盛んに行われています。
肝臓は体内の毒物を分解したり、エネルギーを貯えたり、必要な物質を生産する大化学工場で、人間が生きるためにはどうしても必要です。
それでも、余力があるので、半分でも十分です。
肝臓がん手術では八割も切った例があるほどです。
腎臓だって片方で十分ですし、両方取っても人工血液透析という手段があります。
胆のうや牌臓を摘出しても問題はありません。
こうやって次々と考えていくと、最後に残る臓器が脳でしょう。
脳は約百四十億個の脳細胞の集まりです。
「人間は考えるアシ(注・植物)である」という有名なパスカルの言葉がありますが、考えるのも、喜び、うれしい、悲しいなどの感情も、判断するのも、全て脳の働きです。
脳の各場所の分担は最初から決まっており、ほかの脳がすぐに仕事を代行するわけにはいきません。
したがって、非常に大事な場所が傷つくと、てきめんに後遺症が出て、生活に支障が出てきます。
脳細胞は二十歳をすぎると、毎日十万個ずつ死んでいくといわれます。
四十年で死ぬ脳細胞は十五億個。
さすがに一割以上も減ると、記憶力は大きく低下し、ぼけ症状がひそかに進んでいます。
脳は本当にかけがえのない臓器です。
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