脳ドックと人間ドックの発見率比較
防げる脳卒中、早期発見するには。賢い病院選び。全国500件リスト付き。
レビューを見る
国民の健康への関心も高まってきています。
日本人の死因第一位のがんの場合がそうですが、進行がんで見つかってもすでに手遅れで、治療の効果は十分ではありません。
しかし、早期がんで見つかれば、外科手術ができ、結果的に大半が助かります。
こうしたことから、健康診断による早期診断が重要視されています。
個人だけでなく、自治体や企業の検診が年々盛んになっています。
胃がんや子宮頚がんの健康診断が代表的です。
また、�]線撮影による呼吸器検診は肺結核を撲滅するのに大変重要でした。
結核が減ると、今度は肺がん検診を兼ねるとして引き続いて行われていますが、これには疑問の声が強いようです。
個人単位の人間ドックも全国的に広がっています。
日本で人間ドックにかかる人は、日本病院会の調べでは280万人にものぼっています。
しかし、今までの人間ドックは消化器、循環器(心電図や血圧)、呼吸器、肝臓や糖尿などの採血、採尿検査などが中心で、最も重要な脳についてはほとんど調べていません。
しかも、がん検診での発見率はどうでしょう。
最も代表的な胃がん検診の場合、1999年に全国417万人の受診者中、見つかったのはわずか6000人、0.14%にすぎませんでした。
経費や、�]線の副作用を考えると議論の余地があります。
そのために最近、もっと簡略な酵素ペプシノゲンを用いた血液検査による胃がん検診が注目されているわけです。
�]線による肺がん検診に至っては、早期の確実を発見は非常に難しく、見つかった時にはほとんど治療効果が期待できません。
�]線の被ばくを考えると、ほとんど意味がない、というのが世界的な認識です。
検診で見つけても、実際に治療できなければ、意義は半減します。
早く見つけようが遅かろうが関係がありません。
むしろ、早く見つけるほど入院期間が長くなり、自由な活動時間が減ったり、後遺症に苦しむ時間が延びるだけ、というような批判もあります。
多い脳の異常
これらに比べて、脳ドックはどうでしょうか。
第一号の新さっぽろ脳神経外科病院では17%に異常が見つかりました。
見つかった動脈りゆうは、同病院で中川俊男院長や、顕微鏡手術の名手として知られる札幌医科大学の端和夫教授が手術しました。
それで患者さんは助かったわけです。
また鹿児島市の仁愛会病院は、テスト的に脳ドックを始めた1991年1月からの百人の段階で、脳動静脈奇形2人、動脈りゅうが3人、頚動脈が99%つまっている人が1人の合計6人も見つけています。
また、脳ドック外でも、頭痛だけで受診した患者さんから3人も動脈りゅうの患者さんを見つけています。
脳ドックだけで6%の発見率です。
消化器系の検診でがんが見つかるのは0.1%とか0.2%ですし、新さっぽろ病院は17%。すごい効果です。
しかも、脳の方が、がんよりはずっと治りやすいのですから。
脳の病気が予想外に多いのは、たとえば、非常に小さなものも含めると、下垂体腫瘍を持つ人が1割といわれるのでも分かります。
東京都監察医務院で、突然死や変死者の解剖をして、下垂体を全部切ってみたところ、10%に腫瘍があったと報告されています。
ほとんどは無症状ですが、女性の下垂体腫瘍はしばしば不妊の原因になります。
下垂体は脳底部にぶら下がっている小指の頭ほどの小さな器官ですが、8つものホルモンを分泌しています。
その一つは乳汁分泌をうながすプロラクチンです。
プロラクチンには排卵を抑える働きもあり、高プロラクチン血症は不妊症の原因になります。
したがって、脳外科手術で不妊症が治る場合があります。
上くちびるの内側から切る手術法ですから、傷は見えません。
また、解剖結果では、脳動脈りゅうが見つかる率も3%、つまり、100人に3人の高率です。
脳ドックでは、5%、10%、時にはそれ以上の病気が見つかります。
診断の進歩
なぜ、これほど有効な脳ドックがこれまで実施されなかったのでしょうか。
その理由は簡単です。
それは安全で簡単な検査手段がなかったからです。
�]線CT検査とMR(磁気共鳴)検査ができるまでは、脳の病気を確実に診断するには、脳血管撮影検査といい、脳血管に針を刺し、管(カテーテル)を入れ、造影剤を流して撮影しました。
頭がガンガンして、非常に痛い検査です。
また、10年前なら、1、2%は半身まひとか、言語障害など、望まない危険があるということを必ず患者さんにいってから検査したものです。
外来では無理で、2、3日入院が必要でした。
このほかには、背中の脊髄を刺して100ミリリットルほどの空気を送る気脳撮影という、これも大変つらい検査がありました。
患者さんは頭が痛くなって皆、もどします。
脳波などを別にすると、脳の精密検査というのは脳血管撮影と気脳撮影の二つしかありませんでした。
病人なら多少痛くても、我慢してもらわなければ、病気の状況をつかめません。
しかしながら、どちらも一般の人にはしにくい検査でした。
ところが、1972年ごろから、コンピューターを利用した�]線CT検査が登場してきました。
通常のレントゲンでは骨や臓器の影しか写らないのに、脳の内部が解剖の絵を見るように輪切りで見えるようになったわけです。
ただし、�]線CT検査は、特殊な工夫をしないと脳血管は写らず、放射線を浴びるのが欠点でした。
さらに、1980年ごろからMR検査の最初の手法であるMRI(磁気共鳴断層)検査が出現しました。
放射線の危険もなく、造影剤も使わず、ただ大きな機械の中に入り、10分から15分寝ているだけで脳の中が手に取るように分かるようになりました。
しかも、コンピューターの計算により、脳血管撮影も可能になり、1990年には非常に精密な画像を得ることができるまでに発展しました。
これにより、脳ドックが安全、確実になったといえます。
人間ドックの中で最も遅れていた脳ドックのシステムがMR検査の登場で完成したのです。-----
EXTENDED BODY:
お気に入りのブックマーク・RSSに登録 »
関連記事
サイトマップカテゴリー:脳ドック
トラックバック(0)
http://blog.shigoto-shikaku.com/mt/mt-tb.cgi/6363

