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脳ドックはどんな検査をするか
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脳ドックの品質
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全身画像診断へ
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MR血管検査とは
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MR血管検査の原理
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脳ドックの費用
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脳ドックと普通診療
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MR断層検査の原理
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MR検査とは
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一番大切な脳
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脳を侵す病気
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脳ドックと人間ドックの発見率比較
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脳ドックは不経済?
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脳ドックはどんな検査をするか
防げる脳卒中、早期発見するには。賢い病院選び。全国500件リスト付き。
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脳ドックは実際にどのような検査をするのか、見てみましょう。
もっとも、これは病院により若干の違いがあります。
同じ病院でも本格的な脳ドック以外に、MRI検査(断層撮影・脳血管撮影)などに限った、2、3万円程度の簡易脳ドックを設置していることもあります。
日本脳ドック学会が推奨している本格的な脳ドックは、大体、次のような内容です。
(1)問診
本人のこれまでの病気や、家族に脳卒中患者がいるかどうか、喫煙や飲酒の習慣などを問診表で答えます。
脳ドックは強い磁気で検査するため、ペースメーカーの使用者や体内に金属が入っている人は危険な場合があります。
こうした点のチェックも問診の重要な内容です。
(2)診察
医師が聴診をし、血圧や身長、体重測定などをします。
高齢者の場合には、痴呆検査として「かなひろいテスト」などの簡単な脳機能検査をします。
(3)血液・尿・血液生化学検査
白血球や赤血球、肝機能、腎機能、コレステロール、血糖値検査などです。
(4)心電
(5)頭部MRI検査
脳に腫瘍や大きな変化がないかを見ます。
(6)頭部と頚部のMRA検査
脳血管や頚部の血管の動脈硬化や動脈りゅうなどの有無を見ます。
このほか、頚部の動脈硬化のチェックのための頚部超音波検査、脳血管の動脈硬化度などがよくつかめる眼底検査、脳腫瘍などのチェックにつながる脳波検査、平衡機能検査などもよく行われています。
最初の脳ドックを開設した札幌市の新さっぽろ脳神経外科病院は当初から、MRA検査を補う精密検査のDSA脳血管検査をドックでも実施していましたが、1992年からはやめたそうです。
ごく一部ですが、DSA脳血管検査も行われています。
一部に一泊二日の脳ドックがありますが、大半は半日から一日で終わります。
簡易脳ドックは三時間ほどでしょう。
カテゴリー:脳ドック
脳ドックの品質
脳腫瘍は、年間1万人以上に発症し、自覚症状もさまざまで、単なる頭痛だと放っておけば死に至ります。
新たな治療を切り拓く清水庸夫先生と、世界が注目する最先端の「サイバーナイフ治療」を紹介します。
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1988年に日本で誕生した脳ドックは十年ちょっとで、全国に普及しました。
当初は限られた病院でしたが、増えるにつれ、脳ドックの有用性が問題になってきました。
1995年10月には「脳ドック、判定にバラツキ」「医師の経験や機器の性能で差」という記事が朝日新聞に載っています。
脳ドックは保険の利かない自由診療ですが、日本脳ドック学会の調査では料金は2万円から20万円まで幅があり、平均7万円でした。
それ以上に大きかったのは無症候性こうそくの発見率で、ドックにより1%から56%まで(平均は18.6%)あった、というのです。
気づかないうちに起きている小さな脳こうそくは、致命的な脳こうそくの早いサインですが、見落とすとすぐに危険があるわけでもありません。
しかし、これはMRの性能を反映していますから、発見率の低いドックは小さな動脈りゆうも見逃している可能性が高いことになります。
MR装置の性能は磁気の強さに関係します。
高顧な装置と熟練した技師、医師が揃えば発見率は高くなり、その分、価格も高くなってしまいます。
ただし、小さな異常を見つけるほどいい、ということもいえません。
受診した人はどうしても不安になります。
大きな危険性の有無がチェックできれば十分、という考え方もあるからです。
学会のガイドライン
あまりにバラバラでは、脳ドック全体の信用にかかわります。
そこで日本脳ドック学会は1995年に端和夫・札幌医科大学教授(現・名誉教授)を委員長とする「脳ドックあり方委員会」を作り、委員会は1997年5月に「脳ドックのガイドライン」をまとめて公表しました。
ガイドラインでは、脳ドックの必要な検査を次のように示し、これらの一部を行わない時は「簡易脳ドック」などの別名称をつけるよう施設に求めています。
・問診 ・診察 ・血液 ・尿 ・血液生化学検査 ・心電図 ・頭部MRI ・頭部 ・頚部MRA
各項目には検査の内容が示されています。
問診では脳卒中の家族歴、診察では心臓の聴診や血圧測定が重要です。
また、血液検査ではコレステロールや血糖関係が重要です。
高齢者に対しては、早期痴呆に関連する「かなひろいテスト」などの簡単な脳機能検査を勧めています。
心電図もできれば24時間のホルター心電図がよい、としています。
MRI検査は10ミリ以下の幅で、「T1画像」「T2画像」など3種類の画像を撮ります。
また、MRA検査は、脳動脈りゅうの発見に必要な場所を示し、直径3ミリ以上の90%以上の確率で診断する精度を目安として掲げています。
見つかった場合は、「原則として手術を検討する。一般的には5ミリ前後より大きく、年齢が70歳以下なら手術を勧める。手術しない場合は一年以内に経過観察し、大きくなっていれば手術する」などの基準も書かれています。
カテゴリー:脳ドック
全身画像診断へ
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脳ドックがわかりやすいのは、MRを中心とした画像のおかげです。
MRは全身をどこでも切って、どの方向の画像としても再現できます。
脳ドックでの技術は全身の画像診断に発展しつつあります。
いくつかの病院では、全身を対象にしたスーパードックを試みています。
超高速CTイマトロンは心臓の筋肉を静止させて直接、画像で見せてくれます。
心臓検査で活躍しています。
肺や主要臓器のヘリカルCT検査で、小さながんが見つかります。
また、コンピューターは自由な方向の画像を再構成できますから、内視鏡を実際にやらずに画像から内視鏡的に合成するバーチャル・エンドスコープというものも出ています。
新し好きの「スーパードック」は、CTとMRを軸に、脳ドックの技術、脳ドックに応用した考え方を、脳から下の臓器に広げたものです。
生化学検査と�]線だった人間ドックが、脳ドックの発展の結果として、画像ドックとして再現されるわけです。
これまでよりはずっとわかりやすいと思います。
PET(ペット)やSPECT(スぺクト)の応用も広がっています。
放射線同位元素を用いて脳内の血液の流れや代謝を画像に表すものです。
本格的な脳ドックの追加メニューとしておこなうほか、一般の希望者を対象にするセンターもごくわずかですが、出現しています。
脳ドックに刺激を受けて、心臓ドック、腎臓ドック、肝臓ドック、感覚ドックなどの臓器専門ドックも珍しくなくなりました。
豊かなデータをどう活用し、健康に過ごすことができるのか、受けての力量が問われる時代にもなっています。
カテゴリー:脳ドック
MR血管検査とは
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脳ドックが脚光を浴びているのは、MR血管検査の威力です。
脳血管が数珠玉状になっていて動脈硬化が進んでいるとか、脳血管が一部細くなっているとか、動脈りゅうの芽があるとかが、何の危険もなく分かるようになりました。
動脈りゅうが見つかれば、くも膜下出血が未然に防げます。
年々、解像力があがっており、おそらく、ずっと短時間で検査できるようになるでしょう。
成人したら何年かに一回は脳ドックでMR血管検査を受け、動脈りゅうができていないことを確認すれば、くも膜下出血の大半は予防することができます。
脳ドックの発展次第ですが、今世紀末までに、くも膜下出血で亡くなる人をゼロにするのも夢でなくなるのではないでしょうか。
MR血管検査では直径数ミリの動脈りゅうが見えます。
現在、出血の危険のある動脈りゅうは4ミリ以上です。
2、3ミリの動脈りゅうは従来の脳血管撮影検査でもそうはっきりしないし、それぐらいのふくらみだと出血しないといわれています。
ということは、危険な動脈りゅうのほとんどはMR血管検査で分かるということです。
MR装置は数1000万円から4億円ぐらいまで差があり、当然ながら、磁場が強いものは高価格です。
どの機種でも脳血管撮影はできますが、解像力に差がないとはいえません。
磁場の低いものは、7ミリとか8ミリの動脈りゅうなら見つかるが、4ミリだと難しい、というようなことがあります。
ただし、現在の動脈りゅう手術の多くは7、8ミリから1センチですから、実用上は大きな問題がない、といえるかも知れません。
カテゴリー:脳ドック
MR血管検査の原理
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MR検査は、言い換えると、磁場の中で水素原子に電磁波でエネルギーを与え、高いエネルギー状態にしておいてから再び、元の状態に戻る時の信号を利用しています。
動かない脳組織を画像にする時はそれでよいのですが、血液の流れのように動くものを画像化することは非常に難しい技術です。
血液の場合、P点で電磁波エネルギーを与えても、すぐに位置が動いてしまいます。
そこで、流速を計算し、P点でエネルギーを与えた後、Q点で信号を受け取り、これを元のP点での信号とみなして、P点で画像化します。
MR血管検査はいわば、こうした作業を連続的にするわけです。
静止像に比べて信号は当然ながら弱くなりますから、同じコンピュータープログラムの場合では、磁場の強い装置ほど鮮明に写ります。
カテゴリー:脳ドック
脳ドックの費用
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現在の健康保険は予防的な医療を対象にしていないので、脳ドックは保険適用にはなりません。
自費となると、費用が心配です。
費用は病院ごとに決めており、また、改定される可能性もあります。
現在は、約3万円から約20万円です。
その内容は日帰りか入院か、脳以外のドックをどの程度含んでいるかなど、メニューによって違いますから、どれが良いか悪いか、高いか安いかを論じることはできません。
脳のMR断層検査は保険では一万九千円です。
MR血管検査も同額です。
この両方をやれば、30分はかかります。
それで3万円だと、非常に割安なことは事実です。
それ以外の�]線CT検査や脳波検査、�]線検査などを、もし保険診療ですれば、全部で十数万円はかかるでしょう。
現在、大手企業では社員の人間ドック費用を全額出したり、一部補助をしています。
主に成人病検診ですが、すでに述べたように、脳ドックの方が有効です。
企業は幹部社員の脳ドックを実施すべき時代が始まっています。
それが、結局は企業の将来を保証します。
そう考えれば、費用は決して高いものではありません。
カテゴリー:脳ドック
脳ドックと普通診療
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脳ドックを開設する病院は、これからはどんどん増えていくと思われます。
脳ドックは念のためとか、軽い気持ちで診てもらうことができますが、個人予防的な性格のものですから、通常なら健康保険を使うことはできません。
しかし、普通の人間ドックと違い、対象臓器は脳に限られます。
これが、健康保険上の微妙な問題をはらんでいます。
というのは、始終、頭痛がしたり、めまいや、手のふるえ、物が二重に見える人は、MR装置のある病院へ「頭痛がする」といって、診察してもらうことができます。
一方、全く頭痛のしない人も「頭痛がするから調べてほしい」といえば、病院は診察しないわけではありません。
この場合にも、費用の大半は保険でまかなわれることになります。
こうした検診的な診察が増え、病院が患者さんをこなすことができれば、あるいは脳ドック専門の看板は要らないことになるかも知れません。
保険財政の負担が増えて大変ですが、それでも、多くの脳の異常が早くチェックでき、治療できるなら、それなりの利点もあります。
いずれにしろ、脳卒中や脳腫瘍のサイン、頭痛、めまいなどのある人は、脳ドックか専門病院を一度、受診すべきです。
カテゴリー:脳ドック
MR断層検査の原理
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MR検査で最初に実用になったMR断層検査は、体内の水素原子(ひいては水)がどのくらいあるかを測っています。
強い磁場と、電磁波をかけ、小さな磁石である水素の原子核の運動を変化させ、その変化が元に戻るまでの時間などを分析し、水素原子核の結合状態や量を知る方法です。
このデータをもとにコンピューターで合成した画像は�]線CT以上に鮮明で、�]線を浴びる危険もありません。
性能を決めるのは磁石の強さです。
磁石には普通の永久磁石と、液体ヘリウムで極低温にする超伝導磁石があります。
経費や扱いは永久磁石が楽ですが、超伝導磁石の方が強力です。
日本で市販されているのは普及タイプの0.2テスラ(テスラは磁力の単位)と0.5、1.0、最高級1.5テスラまでです。
MR断層検査はコンピューターで輪切り像を作りますが、間隔は自由です。
一番簿いのは0.7ミリで切れます。
700ミクロン(一ミクロンは千分の一ミリ)です。
それを連続して調べると、ミリ単位の病変が分かります。
一般には5ミリ間隔の撮影が多いようです。
CTも同様ですが、狭く切るほど小さな血管腫、くも膜のう腫、脳腫瘍とか、脳室が大きいなどいろんな異常が見つかります。
T1画像とT2画像
MR断層検査の写真を見ると、脳が黒いもの、白いものといろいろあります。
この小冊子では両方を使っていますが、画像の作り方が違うためです。
お医者さんの説明に「T1」とか「T2」とかの言葉が出てくるかも知れません。
MRの原理でふれた「変化が元に戻る時間」に実はT1、T2の二種類あり、組織の性質(水分や脂肪分など)によって少し違うのです。
この差を利用すると、同じような組織をさらに区別したり、組成を推定することができます。
「T1強調画像」では脳は灰色、髄液は黒く写ります。
「T2強調画像」は逆に、脳は黒く、髄液は白く写ります。
カテゴリー:脳ドック
MR検査とは
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MR(磁気共鳴)検査は、磁気を利用し、横断面だけでなく、縦、斜めと自由な角度で輪切りにできます。
物理的な測定技術NMR(核磁気共鳴)法から発展した検査法です。
1946年、磁場の中で見られる原子核の挙動NMR現象を独立に発見した米国ハーバード大学のF・プロッホ、同スタンフォード大学のえ・パーセル両博士は1952年度のノーベル物理学賞を受けています。
それをもとに、NMR画像、つまりMR画像を得る方法を提案したのは、同ニューヨーク州立大学のP・ラウターバー博士でした。
また、初期の装置は、同僚で、その後、米国フォーナー社に転じたR・ダマディアン博士らが開発しました。
MR検査はMRI検査とも呼ばれ、呼び方が混乱している面もあります。
この小冊子では、次のように区別します。
(MR検査)=磁気共鳴検査。この原理を使った検査の総称。
(MRI検査)=MRイメージング=MR断層検査=磁気共鳴断層撮影。MR検査で最初に出たもの。輪切り像を写す。
(MRA検査)=MRアンギオ(グラフィー)=MRアンジオ(グラフィー)=MR血管検査=MR脳血管検査=磁気共鳴血管撮影。血流を写し出す。
(MRS検査)=MRスぺクトロスコピーMR分光検査=磁気共鳴分光検査。化学物質の分析などに用いられている手法で、生体内のいろんな分子固有の信号を取り出すことができます。
医学分野での応用はこれからですが、脳腫瘍の場合だと、悪性か良性かが分子の違いで分かります。
化学分野で発展させたスイス連邦工科大学のR・エルンスト教授は1991年度のノーベル化学賞を受けました。
カテゴリー:脳ドック
一番大切な脳
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人間のからだは、頭、胸、腹部、手足まで、数多くの臓器があります。
その中で私たちにとって、最も大切な臓器は何でしょうか。
答えは脳です。
脳は人間が毎日毎日、元気に仕事をしていくうえに欠かせない重要な組織です。
最近は臓器移植にからんで、脳死が注目されています。
脳が回復不能になった時、機械の補助でたとえ心臓が動いていて、たとえからだが温かいままでも、人間は死んでしまっているということです。
脳の死こそ人間の死だとの考えは、欧米では当たり前のことであり、日本でも受け入れられつつあります。
この脳は、臓器移植でも人工臓器でも代用することが、現在も将来とも不可能な唯一の臓器でしょう。
パーキンソン病という病気の患者の脳に、胎児などの脳組織を移植する治療が一部で試みられています。
「脳移植」「脳組織移植」と呼ばれていますが、これは心臓や肝臓の移植とは全く違い、移植された脳が本来の脳に代わって全面的に働くものではありません。
一部の物質を補給するだけの目的です。
脳には、ほんのわずかの障害が起きても大変です。
半分あるいは全くなくても平気という他の臓器とは違います。
たとえば、胃は食物を消化し、一時的にためておく場所ですが、胃がんになれば切ってしまいます。
全く不便がない、というとウソになりますが、全部摘出しても命には別状ありません。
腸も半分切除できます。
生体肝移植という手術があります。
1989年11月に島根医科大学付属病院が試みて以来、日本でも、親から子供に肝臓の一部を移植する手術が盛んに行われています。
肝臓は体内の毒物を分解したり、エネルギーを貯えたり、必要な物質を生産する大化学工場で、人間が生きるためにはどうしても必要です。
それでも、余力があるので、半分でも十分です。
肝臓がん手術では八割も切った例があるほどです。
腎臓だって片方で十分ですし、両方取っても人工血液透析という手段があります。
胆のうや牌臓を摘出しても問題はありません。
こうやって次々と考えていくと、最後に残る臓器が脳でしょう。
脳は約百四十億個の脳細胞の集まりです。
「人間は考えるアシ(注・植物)である」という有名なパスカルの言葉がありますが、考えるのも、喜び、うれしい、悲しいなどの感情も、判断するのも、全て脳の働きです。
脳の各場所の分担は最初から決まっており、ほかの脳がすぐに仕事を代行するわけにはいきません。
したがって、非常に大事な場所が傷つくと、てきめんに後遺症が出て、生活に支障が出てきます。
脳細胞は二十歳をすぎると、毎日十万個ずつ死んでいくといわれます。
四十年で死ぬ脳細胞は十五億個。
さすがに一割以上も減ると、記憶力は大きく低下し、ぼけ症状がひそかに進んでいます。
脳は本当にかけがえのない臓器です。
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脳を侵す病気
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大事な人間の脳を侵す病気についてお話ししましょう。
脳の病気というと、非常に少ない病気のように思われがちです。
しかし、種類も結構多く、患者さんもいろいろな診療科にまたがっています。
脳神経外科、神経内科、脳内科、頭頚科、循環器科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科、内分泌科、整形外科、一般の内科などです。
脳卒中や脳腫瘍、頭部外傷や各種の神経病を合わせると、患者は全国で毎年三百万人にものぼるといわれます。
脳卒中は三タイプ
脳神経の専門医が扱う病気の中で一番多いのは何といっても脳血管障害、つまり脳卒中です。
脳卒中は、結核が減ってきた1951年から1980年まで、日本人の死亡原因の第一位でした。
現在はがん、心臓病に続いて第三位ですが、1999年も13万9000人、2000年は少し減って132000人が亡くなっています。
日本人の脳卒中は、食塩の摂取量が減るなど食生活の影響で、倒れる人も死者も減りつつあります。
しかし、それでも日本は世界的に発生率の高い方の国で、依然として日本の国民病です。
毎年、50万人が脳卒中で倒れています。
ただ、死亡率を見ると、日本は急速に減っており、現在では欧米諸国と大きな差はなくなっています。
脳卒中は主に三つのタイプに分けられます。
脳こうそくは、脳の血管がつまってしまい、つまった先に血液が十分に届かなくなるために、脳の組織が血液不足、つまり酸素や栄養不足で死んでしまうものです。
2000年の死者は約83000人です。
脳出血は、動脈硬化や高血圧などで脳の血管がもろくなり、血管が破れて血液が脳内にたまり、周辺の脳組織を壊してしまいます。
約31000人です。
最後のくも膜下出血は、脳底部の動脈の分かれ目に、風船のようにふくらんだ血管のコブである脳動脈りゆう(痛)が破裂するものです。
くも膜と軟膜の問に出血し、周辺部分を庄迫して壊します。
約15000人が亡くなっています。
脳出血では、出血の固まりが直径4センチぐらいまででしたら何とか命を取りとめますが、5、6センチ以上になると、直接の脳破壊と、頭蓋骨内の圧力(脳症)が高まることの両方のためにまず助かりません。
くも膜下出血の場合は、脳底部の出血の広がりによって重症度が決まります。
発作の初めから意識を失うような重症例ほど助かる率が低くなります。
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脳ドックと人間ドックの発見率比較
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国民の健康への関心も高まってきています。
日本人の死因第一位のがんの場合がそうですが、進行がんで見つかってもすでに手遅れで、治療の効果は十分ではありません。
しかし、早期がんで見つかれば、外科手術ができ、結果的に大半が助かります。
こうしたことから、健康診断による早期診断が重要視されています。
個人だけでなく、自治体や企業の検診が年々盛んになっています。
胃がんや子宮頚がんの健康診断が代表的です。
また、�]線撮影による呼吸器検診は肺結核を撲滅するのに大変重要でした。
結核が減ると、今度は肺がん検診を兼ねるとして引き続いて行われていますが、これには疑問の声が強いようです。
個人単位の人間ドックも全国的に広がっています。
日本で人間ドックにかかる人は、日本病院会の調べでは280万人にものぼっています。
しかし、今までの人間ドックは消化器、循環器(心電図や血圧)、呼吸器、肝臓や糖尿などの採血、採尿検査などが中心で、最も重要な脳についてはほとんど調べていません。
しかも、がん検診での発見率はどうでしょう。
最も代表的な胃がん検診の場合、1999年に全国417万人の受診者中、見つかったのはわずか6000人、0.14%にすぎませんでした。
経費や、�]線の副作用を考えると議論の余地があります。
そのために最近、もっと簡略な酵素ペプシノゲンを用いた血液検査による胃がん検診が注目されているわけです。
�]線による肺がん検診に至っては、早期の確実を発見は非常に難しく、見つかった時にはほとんど治療効果が期待できません。
�]線の被ばくを考えると、ほとんど意味がない、というのが世界的な認識です。
検診で見つけても、実際に治療できなければ、意義は半減します。
早く見つけようが遅かろうが関係がありません。
むしろ、早く見つけるほど入院期間が長くなり、自由な活動時間が減ったり、後遺症に苦しむ時間が延びるだけ、というような批判もあります。
多い脳の異常
これらに比べて、脳ドックはどうでしょうか。
第一号の新さっぽろ脳神経外科病院では17%に異常が見つかりました。
見つかった動脈りゆうは、同病院で中川俊男院長や、顕微鏡手術の名手として知られる札幌医科大学の端和夫教授が手術しました。
それで患者さんは助かったわけです。
また鹿児島市の仁愛会病院は、テスト的に脳ドックを始めた1991年1月からの百人の段階で、脳動静脈奇形2人、動脈りゅうが3人、頚動脈が99%つまっている人が1人の合計6人も見つけています。
また、脳ドック外でも、頭痛だけで受診した患者さんから3人も動脈りゅうの患者さんを見つけています。
脳ドックだけで6%の発見率です。
消化器系の検診でがんが見つかるのは0.1%とか0.2%ですし、新さっぽろ病院は17%。すごい効果です。
しかも、脳の方が、がんよりはずっと治りやすいのですから。
脳の病気が予想外に多いのは、たとえば、非常に小さなものも含めると、下垂体腫瘍を持つ人が1割といわれるのでも分かります。
東京都監察医務院で、突然死や変死者の解剖をして、下垂体を全部切ってみたところ、10%に腫瘍があったと報告されています。
ほとんどは無症状ですが、女性の下垂体腫瘍はしばしば不妊の原因になります。
下垂体は脳底部にぶら下がっている小指の頭ほどの小さな器官ですが、8つものホルモンを分泌しています。
その一つは乳汁分泌をうながすプロラクチンです。
プロラクチンには排卵を抑える働きもあり、高プロラクチン血症は不妊症の原因になります。
したがって、脳外科手術で不妊症が治る場合があります。
上くちびるの内側から切る手術法ですから、傷は見えません。
また、解剖結果では、脳動脈りゅうが見つかる率も3%、つまり、100人に3人の高率です。
脳ドックでは、5%、10%、時にはそれ以上の病気が見つかります。
診断の進歩
なぜ、これほど有効な脳ドックがこれまで実施されなかったのでしょうか。
その理由は簡単です。
それは安全で簡単な検査手段がなかったからです。
�]線CT検査とMR(磁気共鳴)検査ができるまでは、脳の病気を確実に診断するには、脳血管撮影検査といい、脳血管に針を刺し、管(カテーテル)を入れ、造影剤を流して撮影しました。
頭がガンガンして、非常に痛い検査です。
また、10年前なら、1、2%は半身まひとか、言語障害など、望まない危険があるということを必ず患者さんにいってから検査したものです。
外来では無理で、2、3日入院が必要でした。
このほかには、背中の脊髄を刺して100ミリリットルほどの空気を送る気脳撮影という、これも大変つらい検査がありました。
患者さんは頭が痛くなって皆、もどします。
脳波などを別にすると、脳の精密検査というのは脳血管撮影と気脳撮影の二つしかありませんでした。
病人なら多少痛くても、我慢してもらわなければ、病気の状況をつかめません。
しかしながら、どちらも一般の人にはしにくい検査でした。
ところが、1972年ごろから、コンピューターを利用した�]線CT検査が登場してきました。
通常のレントゲンでは骨や臓器の影しか写らないのに、脳の内部が解剖の絵を見るように輪切りで見えるようになったわけです。
ただし、�]線CT検査は、特殊な工夫をしないと脳血管は写らず、放射線を浴びるのが欠点でした。
さらに、1980年ごろからMR検査の最初の手法であるMRI(磁気共鳴断層)検査が出現しました。
放射線の危険もなく、造影剤も使わず、ただ大きな機械の中に入り、10分から15分寝ているだけで脳の中が手に取るように分かるようになりました。
しかも、コンピューターの計算により、脳血管撮影も可能になり、1990年には非常に精密な画像を得ることができるまでに発展しました。
これにより、脳ドックが安全、確実になったといえます。
人間ドックの中で最も遅れていた脳ドックのシステムがMR検査の登場で完成したのです。-----
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どんなによい検査があっても、それを活用しなければ、ないのと同じです。
私たちにとって何より大切な器官である脳が、予想外の危機に陥っていないかどうか。
この小冊子を手にした因縁で、ぜひ、脳ドック入りを考えてみて下さい。
大変残念なことですが、脳ドックはまだ十分な数があるとはいえません。
地方によっては何ヶ月も待たされることがあります。
皆が脳ドックの有効なことを知っていくようになれば、医師や病院も必ず対応し、増えていくでしょう。
早くから頭痛、高血圧を抱えているような方は、ドックができるまで待てないかも知れません。
その時は、MR装置を持つやや大きな病院か、脳神経外科専門病院をドック代わりに受診し、頭の中の爆弾の有無を確認しておくことが必要です。
万一、異常が見つかった時はどうしたらよいでしょうか。
動脈りゅうなどは大きさに応じて予防的な手術をし、危険な大発作を末然に防ぎます。
また、小こうそくが多く、脳こうそくの可能性が高いようなら、これから述べるいくつかの点に気をつけて生活するようにします。
脳腫瘍も大きさや場所を総合し、手術やその他の治療時期を選びます。
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人体、とくに頭の中にある脳の様子を外から知ることは不可能でした。
脳ドックが可能になったのは、すでに述べたように、�]線CT検査とMR検査が登場したからです。
�]線は、骨のように硬いものでは反射され、組織の硬さ、軟らかさによって透過率が違います。
普通の�]線はその差を濃淡で表したものです。
ところが、�]線CT検査は、からだの周囲から断面方向に細い�]線ビームを出し、反対側で、通過してきた�]線量を測ります。
一方で、からだの断面を何十万もの点に分けます。
各方向からの通過量をコンピューターで計算すると、その点ごとの濃淡が出てくる、というわけです。
この点を画像にすると、輪切りにした断面図ができます。
かつては比類なき装置だった�]線CTもMR検査に追いつかれ、追い抜かれました。
しかし、石灰化した病変などのように�]線CTの方がよく見えるものもあります。
また、らせん状に体の周囲を連続測定する�]線ヘリカルCT(ヘリカル・スキャン、らせんCTともいう)検査は測定時間を短縮し、頚動脈などの血管撮影もできるなど、MR検査に再び迫るものと注目されています。
脳診断用の�]線CTを1972年に開発したのは、英国EMI社のG・ハウンスフィールド博士で、1979年度のノーベル医学生理学賞を受けています。
その原理を早くに気づいたとしてA・コーマック米国タフツ大学教授が同時受賞しましたが、ハウンスフィールド博士はそれとは独立に開発したということです。
また、日本の高橋信次博士(元・愛知県がんセンター総長)も独自にその原理に到達していました。
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脳ドックは不経済?
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がん検診に比べると脳ドックでは数十倍もの異常が見つかります。
ところが、それでも「脳ドックは不経済」とする報告が発表され、関係者にショックを与えました。
1996年2月の読売新聞によると、熊本大学医学部放射線科の高橋陸正教授(現・名誉教授)の計算は次のようなものです。
脳動脈りゅうは人口の2%が持ち、年間その2%が破裂すると仮定します。
破裂してくも膜下出血を起こすと、半数が死亡し、4分の1が後遺症を残します。
人口10万人で考えると、くも膜下出血で20人が死亡し、10人が後遺症を残すので、2億円の治療費がかかります。
脳ドックを受けると、約2万人が脳血管造影検査を受け、動脈りゅうが見つかった2000人が手術を受けるとすると、検査と手術の合計で40人が死亡し、105人が後遺症を残す可能性があります。
ドックの経費も50億円かかります。
脳ドックの方が経費も死者も後遺症も大きい、というわけです。
集団検診はたいていは不経済になりますが、高橋教授らの指摘は、死亡者や後遺症がかえって多くなる、というのですから深刻です。
ただし、数字は、検査と手術の死亡率、後遺症率をどの程度で計算するかで変わります。
脳血管造影検査の危険はゼロではないのは事実ですが、MR検査も今は三次元の立体画像が多くなり、脳血管造影検査は不可欠ではなくなってきました。
また、脳動脈りゅうが見つかったらすぐ手術、というわけではなく、放置した場合の危険と手術の危険を比較、検討し、手術する場合は定評のある病院や医師を選べば危険は少なくなります。
脳ドックを全員に受けてもらうわけではなく、動脈りゅうの見つかる可能性の高いグループにしぼれば効率は上がります。
胃がん検診では千人に一人しかがんが見つかりません。
その一人にとってはプラスでも999人の不要だった検査を税金で行うのはたしかに議論があります。
脳ドックはほとんど個人ですが、もし、胃がんと同じようにやると、一人のくも膝下出血を救うのに3億円かかる、との計算もあります。
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